ハワイの歴史と文化 -この木何の木とモアナルアガーデン-

今回は、「この木何の木」日立の樹でおなじみのモアナルアガーデンにあるモンキーポッドについてお話しましょう。

この木何の木の名称は、モンキーポッド(MonkeyPod)で、学名はサマネア・サマン(Samanea Saman)といいます。モンキーポッドは、中南米を原産とする豆科の植物で、広く亜熱帯の各地に分布しています。大きく広げた枝の葉は、シダに似た形をしていて、日の出とともに開き、午後になると閉じます。年2回5月と11月の頃に花を咲かせます。

この木何の木があるモアナルアガーデンは、古くはハワイ王国を建国したカメハメハ王家の所有地でした。1884年に王家と親交のあったサミュエル・デーモンという人物にこの土地が譲られ、公園づくりが始まりました。サミュエルは、多民族の融合と共存共栄を目指した王家の意思を受け継ぎ、この公園を広く一般の人に開放し、誰からも愛される場所にしようと考えました。公園内に世界中の文化を取り入れ、日本の茶室などもつくられました。今も公園内には、日本庭園風の池やチャイニーズシアターと呼ばれる東洋風の建物が残っています。公園の植物に関しても、ハワイ原産のものだけでなく、世界中からさまざまな植物が集められました。南米が原産地といわれるモンキーポッドもこのときに海外から取り寄せられたものです。

「この木何の木」ですが樹齢約130年。高さは約25メートル、幅は約40メートルです。樹の胴回りは約7メートル。2010年9月には、ハワイ州の“エクセプショナル・ツリー(Exceptional Tree:特別な木)”に認定されています。エクセプショナル・ツリーはハワイ州が経済の発展により貴重な樹木が失われていくことを懸念し1975年に制定しました。生態系にとって重要かつ、概観的にも美しい樹木を「特別な木」として認定することで、自然保護の推進を目的としています。認定にあたっては1.歴史、文化的に価値がある、2.樹齢が長い、3.希少価値がある、4.美的価値がある、5.大きさに価値がある、6.生育場所に価値がある、7.その土地の固有種であるの、7つの条件をひとつ以上満たすことが条件とされています。

ハワイ州からエクセプショナル・ツリーに認定された、この木何の木ですが、もう一つ特別なことがあります。それはこの木がとても広告的価値があるということです。世界的な電気機械大手である日立はこの木に毎年20、000ドルをデモンエステイト社(Demon Estate)へロゴマーク権利代として支払っていました。2006年からカイマナベンチャーズ(KaimanaVentures)と10年間の利用権契約が結ばれました。この契約により日立は利用料として一年間に400,000ドルを支払っています。10年間でなんと$4ミリオン、日本円で約3億9千万円にも及びます。ホノルル市は100以上のエクセプショナル・ツリーをリストしていますが、 その中でも日立の樹は一番価値のある木?!価格的に一番高い木なのです。

この木何の木は、手厚い保護を受けていそうなので、間違っても開発などで切り倒されたりすることはまずなさそうですね。

参考資料:

日立の樹: http://www.hitachinoki.net/profile/index.html

Hawaii Business:http://www.hawaiibusiness.com/Hawaii-Business/March-2011/Hitachi-Tree-4-million/

Honolulu Advertiser:http://the.honoluluadvertiser.com/article/2007/Jan/26/bz/FP701260356.html