キーワード:持続可能な開発、持続可能な農業、汚染土壌、アクアポニックス、水耕栽培、ハワイ、サステーナブル、オーガニック 、水耕栽培、水産養殖
アクアポニックスというシステムを聞いたことがあるだろうか。アクアポニックスは、魚の排泄物や水をリサイクルしながら、魚と植物を同時に育てる持続可能な食糧供給の仕組みである。
アクアポニックスシステムは養殖いけすで養殖される魚からでる糞を作物に与える肥料に変える。植物はいけすから流れる肥料を含んだ水から栄養を摂取する。そして、作物には水を浄化する作用もある。植物は栄養を取り、魚がタンクを掃除するという循環型の農法である。
オアフ島リーワードコーストにある美しルアルアバレーのふもとに、100世帯あまりが農業に従事している。イリイリファームオーナーのダン・チェン氏とマイ・チェン氏夫妻は退職して数年後、ここルアルアバレーでアクアポニックファームを始めた。現在、シラントロ、レタス、バックチョイ、水菜、ネギなどを栽培、ダウン・トゥー・アース、フードランドへ出荷している。
彼らが初めてアクアポニックスシステムを知ったのは、地元新聞からであった。アクアポニックスは、過去に汚染された土地や農地に適していないやせた農用地区域でも安全でおいしい作物をそだてることができる革新的な農業技術であると彼らは考えた。
アクアポニックスは、土を必要としない理想的なシステムである。したがって、土地を休ませる必要がなく、そして、過去の土地利用履歴が問題となることないため、アクアポニックスで収穫された作物は安全なオーガニックフードとして公認されることが可能である。
アクアポニックス内のすべての水は、システム内で循環するため土を使った伝統的な農法の2パーセントの水量で作物の栽培を可能にしている。近年、イリイリファームでは、ハワイ大学マノア校農業工学学部長ハリー・アコ教授が開発したアクアポニックの技術を採用。水量5000ギャロンの養殖いけす(各いけすには500匹のティラピアが養殖される)を3つ設置し、栄養を十分に含み濾過された養殖いけすの水を14,000本の苗が植えられる96インチの長さの栽培用ベッドへ供給している。
作物用グリーンハウスには12の作物栽培用ベッドが設置されている。作物栽培用のベッドは幅4フィート、長さ50フィート。水を保水するためのプラスティックシートと木製のフレームで作製されたベッドには水が張られ、水面に発泡スチロールのプレートが被せられる。そして、そのプレートには苗を育てるための穴がドリルで開けられる。苗は水中に浮いた発泡スチロールに植えられ、根は充分に栄養を含んだ水に浸かった状態となっている。養殖いけすから流れてきた水は、引力によって自然にフィルターに流れ込んでいくため、電力を必要とすることはない。フィルターに流れ込んだ水は、浄化され、再びミネラルを含んだ水となって養殖いけすへ放流される。イリイリ・アクアポニックスファームは、水を無駄に使わない持続可能な農業の仕組みだ。
また、水耕栽培では、テーブル上のベッドであるため、苗の植え付けが、土壌で栽培される作物に比べて容易であることや土を使わないため作物に害虫がつきにくいというのも利点である。イリイリファームでは農薬を使わない、オーガニックファームである。
イリイリファームは、通常土で育てられていケール、ミントのような作物栽培にも挑戦するなど、安全でおいしい、そして地球にやさしい持続可能な農業開発の挑戦を続けている。
執筆者 佐々木将人
日付 2014年3月8日
参考文献
Down To Earth(2014)news letter http://www.downtoearth.org/
iliili farm (2013) about us http://www.iliilifarms.com/