ワイルドライフハワイの始まり
近所の川のほとりに大きな枝垂れ桜の木あり、毎年春になるとよく犬を連れて散歩がてらに花見に行ったものです。長い冬があけ、桜が咲くころになると近所の人々はドキドキしながら桜が開花するのを待ちました。そして満開になると人々は桜の木の下で花見をし春の訪れを祝いました。夏が近づくと新緑に彩られた桜の木は私たちを清々しい気持ちにさせてくれました。しかし、人のこころを豊かにしてくれていた近所の桜の木でしたが、河川工事のために切り倒されてしまいました。これを機会として、身近にあって人の心をやさしくしてくれる木々は、実はいつまでも続くとは限らないものだと気がついたのでした。 ハワイに暮らし始めてから自然と人間の営みについて考える機会が多くありました。ハワイ島で暮らしていた時、海岸近くのレインフォレストによくハイキングに行きました。ハイキングコースではしばしばネネというハワイ州鳥に遭遇しました。また、海でサーフィンをしていると緑海がめをよく見かけ、ザトウクジラが沖の方で泳いでいるのをたまに見ることができました。気になって、この動物たちのことを調べて見ると、これらの動物は乱獲や環境の変化によって数が激減したという歴史を知りました。ハワイの魅力の一つであり常に人々を魅了する固有の動物たちですが、人間の生活のために住む場所を追われ姿を消していることをハワイの生活で実感しました。これらの体験は、自然と人間の営みの調和について深く考えるよいきっかけとなりました。 私たちは、今、地球温暖化や資源不足など、ひとつの国だけでは解決することができない地球規模の問題に直面しています。自然環境の破壊は急速に進んでおり、その結果引き起こされる気候の変動の影響も懸念されています。自然環境の変化は動植物や人々の生活や健康を脅かしています。人々が豊かな自然の中で平和に暮らして行くために一人ひとりが地球にある自然を大切にしたいという気持ちと、自然を守るためによく考え、行動することが求められているのではないでしょうか。 ワイルドライフハワイは、自然の魅力や歴史・文化など昔ながらの人の営みを残したい、自然のすばらしさをたくさんの人に伝えたい、共有したいとの思いから出発しました。現在、国際観光都市であるホノルル市を拠点とし、教育事業や観光事業を通してハワイから世界へ自然の魅力や自然と共に力強く生きる人たちの過去と今を発信しています。 めずらしい鳥の鳴き声を聞いたり、浜辺で海がめを見つけたり、森の中で美しい花に遭遇したりと自然と共に生活をしていると新しい発見があり感動は尽きません。それらの感動は失われることなく心の中でいつまでも良い思い出となります。また、日々こうした思い出を作ることが、人生の中での楽しみの一つでもあります。私たちワイルドライフハワイはみんなと遊び、地球について考え、感動を共有したいと思っています。また、この自然を保全し、将来この地に住む私たちの子孫にも大地の恵みに感動してもらいたいと思います。
佐々木将人