カフクウインドファーム
東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに、自然の力を利用した再生可能エネルギーの関心が高まっています。
ハワイ州は、周囲を海に囲まれ、本土まで4000キロも離れています。ハワイ諸島周辺では石油や石炭を産出しないため、燃料は島の外からの輸入に頼らなければなりません。また、ハワイは州憲法で原子力発電所の建設を厳しく制限している州であり、原子力発電所はひとつもありません。そのため、ハワイ州は電力の9割以上は石油や石炭に依存しています。石油を輸入するため年間40億ドルが費やされています。2005年のハワイ州の統計によると、エネルギー資源の約90%が石油によるものでした。また、ハワイ電力(HECO)によると発電に使われるエネルギー資源は第1位が石油で約78%、第2位約18%で石炭でした。米国本土では石油による発電は3%であるのに比べハワイ州は石油の依存する割合が非常に高くなっています。
ハワイ州は、電気代がアメリカ合衆国でも最も高い州です。高いエネルギーコストは、ハワイの経済を圧迫しています。もし、テロや災害などで船が港に入れなくなれば、深刻な電力不足に見舞われる怖れもあります。ハワイ州は環境に優しい自然エネルギーを増やすことで、自立を図る必要があります。
こうした背景に鑑み、2008年1月、米国エネルギー省およびハワイ州政府は、 ハワイ・クリーンエネルギー・イニシアティブ(HCEI) を立ち上げました。HCEIは、2030年までに持続可能なエネルギー供給を実現するため、クリーンエネルギー計画をつくりました。計画は2つの柱から成り立っています。
- 省エネを徹底することで、エネルギー消費量を2030年までに30%減らす計画です。
- 再生可能エネルギーの普及です。現在は10%程度の再生可能エネルギーを2030年には40%にまで増やします。
省エネの事例としては、太陽熱温水器、ハイブリットカーや電気自動車の普及などがあげられます。
また、ハワイ州は風力発電の普及にも力をいれており、そのひとつがオアフ島ノースショアにあるカフクウインドファームです。カフクウインドファームは2011年3月1日から稼動を開始しました。ハワイ州で2番目のプロジェクトであり、オアフ島地域への持続可能なエネルギー供給をめざしています。12のタービンで構成され、最大生産電力量は30MWです。当プロジェクトはオアフ島の7700世帯へ電力を供給することを可能にしています。また、マウイ島にあるカヘアワ風力発電所のように、カフクウインドファームは、絶滅危惧種や生態系を考慮したデザインであり、ハビタットコンサベーションプラン(生態系保護計画)を形成しています。
プロジェクトスタッフは、チャリティー募金、ボランティア、グリーンエネルギー教育、施設ツアーなど地域に密着した活動も行っています。施設を訪問しハワイのエネルギーについて学び、未来の地球について考えてみるのもいいかもしれませんね。
[wpgmza id=”10″]
参考資料:
ハワイ州:
https://www.eere-pmc.energy.gov/states/Hawaii_Docs/Petroleum_Price_Impact_Assessment.pdf
ウインドファーム: http://www.firstwind.com/projects/kahuku-wind、
Bloomberg Businessweek:
http://images.businessweek.com/slideshows/20110721/america-s-most-expensive-electricity#slide12
ハワイ州エネルギー局: http://energy.hawaii.gov/